「怪傑ハリマオ」と聞けば自然と胸が高鳴り、あの高く響く主題歌が浮かぶのは戦後間もない時代に生まれた自分達の世代の特徴といえます。その怪傑ハリマオが図書館の新着案内の一冊にあったので、思わず借り出してきました。
テレビの勃興期にあって一世を風靡したテレビドラマ、あの頃少年がみな風呂敷を頭に被ってヒーローを気取った時代、月光仮面と並んで思い出せば胸の奥がツンとする気持ちにさせられるのがこの一冊の主題になっている「怪傑ハリマオ」なのです。本書ではあのヒーローがどのように生まれて、そして終わっていったかを多面的に時代背景を交えて描いています。主題歌を歌っていたのが当時絶頂期を少し過ぎた三橋美智也であったこと、主人公役の勝木敏之という役者の後半生の事など興味は尽きないのですが、なんといっても自分が驚いたのは当時の少年の心をつかんで離さずいまだに大きな存在になっているあの番組が昭和35年4月から36年6月の間のただ1年3か月の間の放送であったという事です。少年の時間軸と今の老人の時間軸の違いというのでしょうか、自分の中では数年間であった様な気もするその時間の余りの短さに愕然とした思いです。内容の評価は色々ある様ですが、とても胸躍る1冊であった事は間違いありません。