今日の日経新聞の文化面、「貴人が愛した浮世絵十選」の記事に惹かれました。
江戸末期、尾張徳川家第十三代当主、徳川慶臧(よしつぐ)公の遺愛の浮世絵として紹介されているのが、歌川国芳の「山王祭礼図巻」です。実はこの少年当主ですが、わずか数え年14歳で夭折してしまいます。その墓地の改葬の折墓室から発見されたのが、山王祭図巻を含む大量の錦絵版画や版本類だそうです。
海外でいま日本のアニメや漫画が急速に愛好家を広げているという事実、その起源を鳥獣戯画や絵巻物の伝統や、近世では浮世絵に辿る事がよく見聞きされますが、恐らく遠からずも当たっているのではないかと思います。この少年藩主もさしずめ今ならアキバ辺りで普通に見かける若者の感性を持っていたのではないかと思いを馳せると、なぜか身近に感じられて、夭折した少年君主の遺愛の品を傍らに置いた遺族の愛情までが伝わるような記事でした。
副葬品の一部、歌川国芳作「人をばかにした人だ」です。